福岡大学医学部病理学教授

竹下 盛重

Morishige Takeshita

出身地:福岡県行橋市

1980年福岡大学医学部を卒業、九州大学、市内浜の町病院で内科研修。肝硬変、肝癌、自己免疫疾患等の患者の担当医となり、貴重な臨床経験をえた。

1982年当病理学教室に入局、当教室開設時の教授である菊池昌弘先生に師事する。当時九州沖縄地区で多くみられた成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL/L)の症例収集と研究に従事する。また、世界的に認知された菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)の収集とまとめの手伝いを行う。

1988年より1年半、西ドイツ、フランクフルト大学病理学教室に留学。Hodgkinリンパ腫の脾臓浸潤形態の研究を行う。欧州の古い歴史の中で何が大切であるかを考えさせられた時期でした。

1990年に復帰し、1995年福岡大学医学部助教授にしていただき,その後福岡市にある国立病院(現病院機構)九州医療センター(680床)に1人病理医(検査科長)として就職。最初の3,4年は60体以上の剖検をこなし病理診断を行っていたが限界となり、最終的に久留米大学医学部病理学(渡辺次郎先生:現八女公立病院病理検査部長)と一緒に楽しく病理診断、細胞診、剖検に従事した。

2004年、福岡大学医学部病理学教室の教授として赴任、現在にいたる。

Interview

専門とする部門についてお聞かせください。

骨髄、リンパ節、その他の臓器にみられるリンパ増殖性疾患を集積し臨床病理的に解析しています。特に慢性疾患(関節リウマチ、B、C型肝炎)に伴う悪性リンパ腫は特異で興味をもって検討しています。また、消化管のT細胞性リンパ腫の解明を行っています。成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL/L)はまだまだ患者さんが多く治療抵抗性で未知な所が多く、今も研究を続けています。疾患の特徴が明解になることに喜びを感じています。

日頃の業務・活動や研究についてお聞かせください。

日頃の仕事は、M3、M5年生を中心に病理学総論各論とBSLの講義を行っている。また、院内、院外の診断業務を行っています。その中でテーマとしてリンパ腫を中心に血液病理学を研究しています。リンパ腫関係のカンファレンスに月に2回参加しており、最近の治療法等を学んでいます。現在の研究の対象は、ウイルスや慢性炎症に伴うリンパ増殖性疾患です。関節リウマチの治療に伴う悪性リンパ腫やATL/Lの再考を行っております。ATL/Lが発見されて38年が経ちますが、まだまだその発症には謎が多く、研究のし甲斐があります。

なぜ、病理学を選択したのですか?

私は1980年卒業で、当時ATL/Lというウイルスが明確に発癌を引き起こす初めての腫瘍があるということで九州は熱くなっていました。私の師匠の菊池昌弘先生がその中心の一人であり、入局を決めました。他の大きな理由として考えると、自分自身少し臨床に向いていないと研修時代に感じたこと、また病気をまだ十分に知りたいという意欲があったからだと思います。30才台前半に一度内科に帰りたいという時期がありましたが、各科にわたる病理診断の重要性、深さ、楽しさを再確認し続けることができました。

メッセージをお聞かせください。

現在、病理医は全国レベルで少ない状況にある。しかしながら、病院,医学部における働きは重要で必修の仕事と考えられます。また、やりがいがある仕事内容と思われる。 本教室は、専門性が多岐にわたり、若い医師が大学院生として来られるにはよい教室であると考えます。また、長い医業の中で3,4年間違う観点から病気をみることは、その後の医師活動に有益なものと思われます。是非決心され、一度病理学を学んでください。最大限の協力と歓待を致します。

近年の論文・研究
  1. Yamasaki S1, Tanimoto K, Kohno K, Kadowaki M, Takase K, Kondo S, Kubota A, Takeshita M, Okamura S. UGT1A1 *6 polymorphism predicts outcome in elderly patients with relapsed or refractory diffuse large B-cell lymphoma treated with carboplatin, dexamethasone, etoposide and irinotecan. Ann Hematol 2015; 94: 65-9.
  2. Sadahira Y, Sugihara T, Fujiwara H, Nishimura H, Suetsugu Y, Takeshita M, Okamura S, Goto M. WRN protein as a novel erythroblast immunohistochemical marker with applications for the diagnosis of Werner syndrome. Virchows Arch 2014 [Epub ahead of print].
  3. Kawamura E, Hisano S, Nakashima H, Takeshita M, Saito T. Immunohistological analysis for immunological response and mechanism of interstitial fibrosis in IgG4 related kidney disease. Mod Rheumatol 2014 [Epub ahead of print].
  4. Yamada K, Oshiro Y, Okamura S, Fujisaki T, Kondo S, Nakayama Y, Suematsu E, Tamura K, Takeshita M. Clinicopathological characteristics and rituximab-plus cytotoxic therapies in patients with rheumatoid arthritis and methotrexate-associated large B-lymphoproliferative disorders. Histopathology 2014 [Epub ahead of print].
  5. Setoguchi S, Watase D, Matsunaga K, Matsubara M, Kubo Y, Kusuda M, Nagata-Akaho N, Enjoji M, Nakashima M, Takeshita M, Karube Y, Takata J. Enhanced antitumor effects of novel intracellular delivery of an active form of menaquinone-4, menahydroquinone-4, into hepatocellular carcinoma. Cancer Prev Res (Phila) 2014 [Epub ahead of print]
  6. Kikuma K, Yamada K, Nakamura S, Ogami A, Nimura S, Hirahashi M, Yonemasu H, Urabe S, Naito S, Matsuki Y, Sadahira Y, Takeshita M. Detailed clinicopathological characteristics and possible lymphomagenesis of type II intestinal enteropathy-associated T-cell lymphoma in Japan. Hum Pathol 2014; 45: 1276-84.
  7. 竹下盛重, 川本研一郎, 山田梢, 菊間幹太, 小畠勝巳. T/NK細胞リンパ腫の細胞性格に関する考察:腫瘍細胞の性格を知り治療につなげる医療. 日本臨床細胞学会九州連合会雑誌2014; 45: 5-11.
  8. 竹下盛重, 二村聡, 菊間幹太, 山田梢, 石橋英樹, 中村昌太郎, 中山吉福, 岡村精一, 鵜池直邦, 米増博俊, 卜部省悟, 内藤慎二, 村上聖一, 定平吉都. 成人T細胞白血病/リンパ腫を含む消化管T/NK細胞リンパ腫の臨床病理学的特徴:リンパ腫の細胞起源についての考察を含む. 胃と腸2014; 49: 769-781.
  9. 竹下盛重, 山田梢, 中山吉福, 古賀文二, 中山 樹一郎, 大城由美, 臺丸裕. 皮膚悪性リンパ腫の診断とその鑑別診断のポイント. 病理と臨床2014; 32: 400-10.
  10. 山田梢, 大城由美, 岡村精一, 田村和夫, 竹下盛重. 関節リウマチ患者に発生するmethotrexate関連DLBCL. 血液内科2014; 68: 111-7.
  11. Miyake T, Nimura S, Hamada Y, Nabeshima K, Shinohara T, Tanaka S, Yamashita Y, Takeshita M, Iwasaki H. MK-1 expression in gastric carcinoma with liver metastasis. Jpn J Clin Oncol 2013; 43: 377-82.
  12. Kondo S, Tanimoto K, Yamada K, Yoshimoto G, Suematsu E, Fujisaki T, Oshiro Y, Tamura K, Takeshita M, Okamura S. Mature T/NK-cell lymphoproliferative disease and Epstein-Barr virus infection are more frequent in patients with rheumatoid arthritis treated with methotrexate. Virchows Arch 2013; 462: 399-407.
  13. Matsushita Y, Takeshita M. Paediatric T-cell lymphoma of the appendix: a case report. Diagn Pathol 2013; 8: 2.
  14. 瀬川芳恵, 久野敏, 松下操, 藤田禎三, 廣瀬伸一, 竹下盛重, 岩崎宏. 小児特発性膜性腎症におけるIgGサブクラスと補体活性化経路の検討. 福岡大学医学紀要2013; 40: 141-53.
  15. 内藤淑子, 佐藤栄一, 猪狩洋介, 中島勇太, 工並直子, 勝屋弘雄, 松岡信秀, 高松泰, 竹下盛重, 田村和夫急性骨髄性白血病の治療中に好中球減少性腸炎を発症した2例. 福岡大学医学紀要2013; 40: 173-179.
  16. 安田加奈恵, 近藤晴彦, 植田多恵子, 宮川三代子, 宮本新吾, 小畠勝己, 神原豊, 鍋島一樹, 久野敏, 竹下盛重. 穿刺吸引細胞診にて診断できた子宮癌肉腫腋窩リンパ節転移の一例. 日本臨床細胞学会九州連合会雑誌2013; 44: 89-93.
  17. 石黒晶子, 金子安比古, 横山良平, 福重智子, 溝口幹郎, 竹下盛重, 岩崎宏. 組織学的に二相性を示した脂肪肉腫の一例. 日本染色体遺伝子検査学会雑誌2013; 31: 51-56.
  18. 菊間幹太, 山田梢, 二村聡, 竹下盛重. 広範な粘膜内増殖を示した腸管症関連T細胞リンパ腫II型の1例. 診断病理2013; 30: 108-111.